もしも、もしも、ね。
***
「「「ごめん!!!」」」
更衣室から出た瞬間、私はユウと准君と望果に揃って頭を下げられた。
更衣室は男女それぞれ1人分しかないため、順に着替えていって、
それで最後に出て行ったのは私だった。
一瞬びっくりしたけれど、すぐに意味を理解して、「大丈夫だよ」と笑う。
「みぃが手伝ってくれたし、みんなが抜けようとしてくれてたのは知ってたし。
仕方ないでしょ、3人の人気は私わかってるもん。」
「でも!」
渋る望果に、こっちが申し訳なくなる。
「ほら、3人のおかげで売り上げ伸びたし?」
「暁里・・・。」
「次のときに気をつけてくれればいーよ。お疲れ。」
あー、もう仕事終わったし今日は一回帰ろうかなー。
終わる時間頃にまた来ようかなー。
そんなことを考えながら、3人から身を翻した瞬間だった。
右の肘がぐいっと何かに引っ張られて、体の重心が後ろに落ちる。
驚きと転ぶ恐怖に小さく声を上げた気がする。
けれど、私の体はストンと何かにぶつかって、私はきょとんとしながら顔を上げた。
当たる“何か”に頭が擦れる。
「―――なんかあった?お前。」
「!!」
私はすぐ驚きに包まれた。
真上から覗き込むように顔を見せたのは、ユウだったから。
その顔は、なんかちょっとだけ辛そうで、でもそんな表情をする理由がわからない。
「別に、何も?」
体勢もなんだか後ろから抱きしめられてるようで。
(実際は背中にユウが当たって、腕を掴まれてるだけなんだけど。)
バクバクする心臓を押さえつけながら、平静を装って微笑んだ。
「ふーん」と呟くユウは、口調こそ納得しているものの、
不機嫌そうな表情から読み取れば納得なんてしていない。
なんで気づくんだ、こいつ。