もしも、もしも、ね。
「じゃ、何もねぇなら、帰らないよな?」
「・・・は?」
だから、なんでわかるの。
私が帰ろうとしてたこと。
にっこりと笑うユウに、顔が引きつる。
(さっきこれの逆バージョンが教室で起こらなかったっけ?)
「回るぞ、文化祭。」
「い、嫌よ!!だって、アンタと歩いたらどんだけ注目されることか・・・!!」
「別にいーだろ?付き合ってんだから。」
「嫌。私目立つの嫌いなの!!」
「無料チケット、色んなトコのあんだけど?」
「あんなキャピキャピした女からの貢物に頼るなんて真っ平ごめんよ!」
「だったら別に使わなくてもいいだろ、とにかく行くぞ。」
「だーかーらー、人ごみ嫌なの!あんたと回ることも嫌なの!」
いつも通りの喧嘩が始まる。
やっぱり私とユウの意見は噛み合わない。
大体、こいつもこいつでどうして私を連れまわそうとするのよ。
考えがさっぱり理解できなくて。
「じゃあさ、じゃあさ!」
無言でにらみ合う私達の前に、ぴょこんと飛び出したのは望果。
今日はトレードマークのツインテールじゃないから、髪が揺れることは無い。
「間取って、ダブルデートと行きましょうよ。」
「何の間を取ってるかわかんないんだけど。」