もしも、もしも、ね。


「―――まぁ。」

「?」

「利用、してやらないことも・・・ないけど?」



なんとなく、ユウの言葉が嬉しくて。

でも素直に言えない私はそんな言葉しか口に出来ない。



「俺Mキャラなわけでもねぇし。」

「自分で言ったんだから責任持ちなさいよね。」

「可愛くねぇ。」

「今更。」



そう言って突っぱねた私だけれど、なんとなく笑いがこみ上げてきて。

ふ、とユウを見れば、やっぱり口元が緩んでる。

そんな顔見せないで。

我慢、出来なくなっちゃう。



私と同じ事を思ったのか。

私達は、廊下の片隅で声を出して笑った。



特別に面白いわけでもなかったけれど、

なんだかこらえ切れなくて、

涙が出るまで、

変な目を向けられても、

私達は笑った。



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