もしも、もしも、ね。
「告白なんてしょっちゅうあって、いつも女の子に囲まれてて。
サッカー部のエースで、勉強だって学年の5位以内。
・・・誰かさんそっくりでしょ?」
「お前はそういう男食うのが趣味なのか?」
「バカ。」
笑い声を含んだユウの茶化しに、半分笑って、半分怒って答える。
ユウは、「確かに初めて告白されたのがそんな男なら揺らぐよな。」って言った。
皮肉?と返せば、真面目に、と答えた。
私は少しだけ息を付いて、話を続けた。
「それでも、私が不安になるたび、何故か陸斗は気付いてくれた。
それで、いつも私に好きって言ってくれた。」
陸斗は変なところに照れ屋な人だった。
好きだよ、と言うときは少しだけ視線が泳いで、
頬より先に耳が赤くなる。
それで、言い終わった後に必ず耳を掻くんだ。
そんなクセ、知っているのは私だけだと、ずっと思っていた。
「―――すべてを知ったのは中3の夏。
陸斗と付き合いだして、半年くらい経った頃だったかな。」
茹(う)だる様なあの暑さとけたたましいセミの鳴き声。
私は、陸斗の試合の応援に行っていて。
熱中症のようにくらくらして来た私は、
ちょうどハーフタイムに、涼もうと木陰に向かった。
そこで聞いた、すべてのこと。