もしも、もしも、ね。


「結果から言えばさ、私遊ばれてたんだよね。」



わざと、明るく言い放つ。

わざとらしいと分かっていた。

勘のいいユウにはわかっちゃうって分かっていた。

けれど。

そうしないと、あのときの喪失感にまた飲み込まれてしまいそうだったから。



「私、すべての試合見に行ってたわけじゃないんだけど、

その私の好きだった人のせいでファールを取られたらしくてね。

しかもその取られ方がこう、ダサいというか・・・笑いものにされる形だったんだって。」

「・・・。」

「陸斗はプライドが高くて、モテることだって分かってて、ナルシストだったから、

それが悔しかったみたい。

一般人の平凡な私には、いまだにまったく理解できないんだけれど。」



話していたのは、陸斗と仲の良い男の子達だった。

こんなに直球な話題展開はしなかったけど、さすがに推理の出来る内容だった。

だから、私の話していることは99%真実。



「それで、ある日その好きだった先輩が、“気になる子がいる”って話をしていたのを聞いたらしくて。

それが、」

「―――暁里だった、ってわけ?」



私は思わず黙った。

沈黙は肯定、と受け取ったのだろうか。

ユウは「ごめん、口挟んで。」と呟いた。

ううん、と首を横に振った。

見えないのは、わかっていたけれど。



「それに、彼には他に女の子なんていっぱいいたらしくて。

私は、ただの駒だった。

陸斗は、彼から奪えるものならなんでも良かったのよ。」

「・・・。」


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