もしも、もしも、ね。


連れてこられたのは、やっぱり屋上。

誰にも邪魔されずに私たちが来れるのってここだけだもんね。

そして篠田の第一声。



「俺の勝ち。」



わかってるわよ!!

視線を反らして唇を噛みしめる私。

篠田は、ぐいっと私を覗き込んだ。

その突然のどアップに、思わず後ずさる。



「約束、守ってくれるよな。」

「・・・」



認めたくない。認めたく、ないけど・・・。

最後の逃げるチャンスも私は手放しちゃったわけだし。

すっっっっっごく癪に触るけど、答えなんて一つでしょ?





「―――わかったわよ。」



女に二言はない。

賭けを肯定したのに、負けたら逃げるなんて私のプライドが許さなかった。

あー、なんで私賭けに乗っちゃったんだろう。

後悔先に立たず。後の祭り。

ため息混じりの呟くような声だったけど、篠田には届いたらしい。

にっこり笑ってくれた。



「ん。ありがとな、暁里。」

「ドーイタシマシ・・・・・・てぇぇぇぇえぇぇっぇぇっ!!?」

「何言ってんだお前。」



一気にクールに戻った篠田。

だ、だ、だ、だだだだだだって!!い、今っ・・・!!



「今、暁里・・・って・・・!!」

「だって、これから付き合ってることになるんだろ?

普通、恋人って名前で呼ぶんじゃないの?」

「それじゃ、まさか・・・。」

「そ、お前も俺のことは裕哉な?」


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