もしも、もしも、ね。
5人も女の子がいるんだ。
私はあくまでもその一人なんだ。
―――それは、私にとってショック以外の何者でもなかった。
当たり前だろうけれど。
「アカリだけ。」そう言っていた彼氏が、浮気していたのだから。
「でも、私中途半端に馬鹿でね。
陸斗が“~番目”なんて順番つけてるから、私、せめて1番だと思い込もうとしたの。」
私はあくまで駒だったのに、それでも信じたかった。
別に陸斗に世界を満たされていたわけではないけれど、
それでも陸斗がいなくなれば私の世界は欠けるから。
「『私って何番目?』って聞いたら、陸斗はすぐに気付いたみたいだった。
それから、馬鹿にしたように笑いを歪めて、『知りたい?』なんて茶化してきて。
カッとなっちゃったんだよね、私。
試合で聞いたこととかも含めて、全部追求しちゃったの。」
一緒にいたいなら、知らないフリをすれば良かったのに、
私はバカで愚かで無知だったから。
「私がすべてを知ったことに気付いた陸斗は、見たこともないような冷めた瞳で私を見た。
それで言ったんだ。
『なんで知るんだよ、めんどくせぇ』って。
『せっかくこの俺が、お前みたいな女と付き合ってやってたのに』って。」
「・・・。」
「それで、最後の別れ際の言葉。
私にとって、すべてを突き落とす言葉だった。」
馬鹿にしたように鼻で笑って、
蔑むような冷たい目線を向けて、
陸斗の部屋の中、私の立ってる部分を指さして。
『お前なんでそこにいるわけ?』