もしも、もしも、ね。


5人も女の子がいるんだ。

私はあくまでもその一人なんだ。

―――それは、私にとってショック以外の何者でもなかった。

当たり前だろうけれど。

「アカリだけ。」そう言っていた彼氏が、浮気していたのだから。



「でも、私中途半端に馬鹿でね。

陸斗が“~番目”なんて順番つけてるから、私、せめて1番だと思い込もうとしたの。」



私はあくまで駒だったのに、それでも信じたかった。

別に陸斗に世界を満たされていたわけではないけれど、

それでも陸斗がいなくなれば私の世界は欠けるから。



「『私って何番目?』って聞いたら、陸斗はすぐに気付いたみたいだった。

それから、馬鹿にしたように笑いを歪めて、『知りたい?』なんて茶化してきて。

カッとなっちゃったんだよね、私。

試合で聞いたこととかも含めて、全部追求しちゃったの。」



一緒にいたいなら、知らないフリをすれば良かったのに、

私はバカで愚かで無知だったから。



「私がすべてを知ったことに気付いた陸斗は、見たこともないような冷めた瞳で私を見た。

それで言ったんだ。

『なんで知るんだよ、めんどくせぇ』って。

『せっかくこの俺が、お前みたいな女と付き合ってやってたのに』って。」

「・・・。」

「それで、最後の別れ際の言葉。

私にとって、すべてを突き落とす言葉だった。」



馬鹿にしたように鼻で笑って、

蔑むような冷たい目線を向けて、

陸斗の部屋の中、私の立ってる部分を指さして。





『お前なんでそこにいるわけ?』


< 162 / 299 >

この作品をシェア

pagetop