もしも、もしも、ね。


「ま、それからはユウがご存知の通りなんだけど。

陸斗とこんな形で再会しちゃうなんてなぁ・・・。」



はは、と苦笑交じりに空を見上げた。

小窓の向こうの雲は、いつの間にか太陽の前で立ち止まっている。

その曇り空は、まるで私の気持ちのようだった。

ほぼすべてを話し終えた私は口を閉ざし、

たまの相槌以外沈黙していたユウが口を開くこともなく、

私達の間には静寂が残った。



「暁里、一つだけいいか?」



しばらくたって、ユウが口を開く。

「んー?」と気の抜けた返事を返す。



「―――・・・・・・あー、でも今の暁里に聞くのは酷かも・・・。」

「何よ、言いかけておいて止めるなんて気になるじゃない。」



私は顔をドアに向けた。

少し責めるように言うと、一瞬の沈黙。

それから、「じゃぁ言うけど。」と腹を括ったような声が聞こえた。



「―――俺を嫌いな理由は、アイツ?」



ドクン、と心臓が大きく鳴った気がした。


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