もしも、もしも、ね。
「何すんのよ、ユウ!!」
「だから、悪いって。」
「悪いって顔してないわよ!!まった・・・・・・・・・・・・・・く・・・」
怒るために段差を駆け上がり詰め寄る私。
けれどそれよりも、この状況にデジャヴを感じて私は固まった。
あれ?
前にも、こんなこと、なかったっけ?
私はゆっくりとユウの顔を仰ぐ。
前にも、あった。
こんなこと、あった。
ていうか。
「もしかして・・・」
「そうそう。これが暁里と俺の出会いだったりして。」
思い出した?
にっこり笑うユウの顔に、私は呆然とする。
私はてっきり同じクラスになった高2が初めての出会いだと思ってた。
―――違う、高1の夏。
陸斗の真実を知った日と同じような、蜃気楼が見えそうなほど暑い夏の日。
ここで、私とユウは出会った。
私は、じゃんけんに負けて一人ここでごみ捨てをしていて。
その私の頭に、バスケットボールをぶつけたユウ。
まったく今と同じ状況で。
そして。
「思い出したみたいだね。」
思い出した。
そうだ、あれはユウだった。
私の脳に、『篠田裕哉』を植えつけた、最初のとき。
ユウは、ここで私に言ったんだ。
『お前、なんでこんなとこに居るの。』
陸斗と、同じセリフを、私に向かって。
それは、私の奥底を強く刺激して、一気に記憶をフラッシュバックさせたんだ。
怒りを込めた瞳でユウを・・・ううん、篠田を睨みつけたら、
彼は挑戦的に、それでも余裕たっぷりに笑った。
「あの時と、同じ顔してるよ。暁里。」