もしも、もしも、ね。
その笑顔は、あまりに陸斗に似ていて。
私はフラッシュバックにギリッを奥歯を噛んだ。
「意味わかんない・・・!!」
「・・・。」
「私忘れてたのに!!
アンタを嫌いになったこのきっかけ、忘れてたのに!!
なんでアンタが思い出させるのよ!!
なんでアンタがこんなこと覚えてるのよ!!!」
冷めた瞳で私を見つめる篠田は無言だった。
そんな目で、私を見ないで。
怖い。怖い怖い。
嫌わないで、私を。
見捨てないで、私を。
陸斗と同じ瞳で、私を見ないで。
離れていくなら近付かないで。
「篠田の考えてることわかんないよ!!
どうして今更こんな・・・ッ!!」
叫びながら、私は一つの答えにたどり着く。
陸斗に似た笑み。
陸斗に似た瞳。
そして、私にもう一度怒りを呼び起こす行動。
人目につかない、この場所。
こう考えれば、辻褄が合う。
そう思ったら体中の血液がすーっと冷めて、思わず笑いがこみ上げた。
「―――あぁ、そういうことね。」
「・・・」
「篠田も私のこと嫌いなんだ。」
私が、篠田をずっと嫌いだったように、篠田もずっと私を嫌っていたんだ。
だから、
私に興味のない陸斗と同じ笑顔が出来て、
私を嫌いな陸斗と同じ瞳をして、
私がもっと篠田を嫌いになるような行動して、
人目に付かない場所で
少し早い、別れ話をしようとしてたんだ。