もしも、もしも、ね。
*2*
***
落ち着いてから、私はすべてを話した。
ユウと付き合っていたことが嘘だったこと。
けれど、付き合うことになった理由。
私が嫌いだった理由。
さっき二人でしていた会話。
陸斗のこと。
ユウが、今、私にしたこと。
すべてが不思議なくらいはっきりと私の記憶にあるのに、
何故かうまく言葉に出来なくて、
詰まりながら、悩みながら、私はゆっくりと話をした。
望果は私の手を握りながら「うん、うん」と相槌を打ってくれて、
つたない私の話をちゃんと聞いてくれた。
准君は腕を組んだまま校舎の壁によっかかって、
少し不機嫌そうな顔のまま始終無言で地を見つめていた。
「―――それで、あとは二人が見たとおり・・・かな。」
そう言って話を終わらせると、少しだけ沈黙がその場を支配する。
はぁ、と息を付いて俯いた私。
その頭に、ポンポンと暖かく軽い感触がして。
すぐに顔を上げれば柔らかい笑顔の望果と目が合った。
「よく話してくれたね。ありがとう。暁里。」
―――そんな言葉、今の私には優しすぎて。
また視界がかすみ始めると、
潤んだ視界の向こうで望果が「泣かないで!」と慌てたのが分かる。
「だ、だって・・・私、ずっと望果に嘘ついてたのに・・・」
そんな優しい言葉かけてもらう資格なんて無いのに。
私はいつからこんな泣き虫になったんだろう、
そう思ってしまうくらい頬を涙が伝っていく。
そんな私の涙をポンポンとハンカチで拭いながら、
望果は私の大好きなキラキラした笑顔を見せる。
「だって、暁里が言えなかった気持ちも分かるしさ。
今みたいに辛いときに頼る人に、
あたしを選んでくれただけで十分だよ。」
この子はなんていい子なんだろう。
その天真爛漫な太陽みたいな笑顔は私の心を照らしてくれて。
どんな未来でも、
望果はきっとずっと傍にいてくれる。
明るくしてくれる。
導いてくれる。
彼女が友達で良かった、と思えた。