もしも、もしも、ね。
そっと、目を閉じる。
“暁里”
少し悪戯気な笑顔。
“だからさ、付き合ってくれない?”
貴方には最初から驚かされたね。
“実は気合うんじゃね?俺ら。”
否定できなくなったの、あの頃からかな?
“白雪姫の衣装、お前すっげー似合ってた。”
恥ずかしいけど嬉しい言葉、いつも言ってくれた。
“一人にしたくねぇんだからさ。”
本当は、ありがとうって言いたかったんだよ。
“別れようか。”
こんなに引き裂けそうな思いが、すべての答えだったのに。
直視できないくらいまぶしくて、
でも悔しいくらいに私の中で私を惑わす、
この感情の名前を私は知っていた。
ホントはヒントなんてあちこちにあって、
いつも、私の心をノックしてた。
それを認められなかったのは、私が逃げたから。
また捨てられるくらいなら、
あの陸斗の時のような気持ちを味わうなら、
絶対誰も好きになるもんかって。
些細なきっかけを言い訳にして縋って、
傷つくのから逃げたんだ。
自分を守りたかっただけだった。
“大嫌い”はただの暗示で、
私の心の一番強い錠だった。
この人は陸斗と同じだって、
そう思って近づかないようにするために。
ただただ、分からないフリをしていただけだったの。
陸斗を思い出したくなくて。
ユウへの想いなんて認めたくなくて。