もしも、もしも、ね。
疑問と疑惑に包まれながら、私はおそるおそる、それでも動揺を悟られないように返事をする。
「ユウが突然電話なんてするからでしょ。」
擬似恋愛をしているときですら、電話なんてほぼ無かったのに。
私の答えに、ユウは確かにとまた笑った。
『暁里、何してた?』
「何もしてないよ。ただベッドにごろーんってしてた。」
『あ、悪い。寝るとこだったとか?』
「ううん。眠くなかったけどやることなくって。」
平常どおりの会話をしながら、(いや、こんな普通の会話は逆に平常じゃないんだけど)私は目をつぶる。
電話越しに聞くユウの声は、少しだけ本物より低かった。
それが耳元で優しく囁いてきて、それがちょっと別の人みたいで、ドキドキした。
ユウはどんな風に電話してるんだろう。
どんな部屋で、どんな格好で、どんな姿勢で、どんな表情で、
私の声を聞いてるんだろう。
なんて思っていると、まるで私恋する女の子。
いや、コイ・・・してるはずなんだけど。
まだむずがゆいというか、
相手がユウってことにどこか納得行かないっていうか、
素直じゃないと人に言われる性格の私は恥ずかしさが段々と高まって。
思わず体を持ち上げて、手元にあった枕を壁に投げつけた。