もしも、もしも、ね。
ぼすんっ
と鈍い音がする。
同時に、電話の向こうで『今の音何?』なんて聞かれたから、
慌てて「なんでもないよ。」と答えた。
わざとらしい、と彼は笑った。
でも私が何をしたのか、追求しなかった。
『なぁ、暁里?』
代わりに彼は、少し間を空けて、穏やかに・・・けれど真剣に、そう話を切り出した。
「ん?」
『ちょっと話があるんだけど。』
その声は、また少し低くなっていた。
なんとなく、今日のことだと分かった。
夢じゃないか、やっぱり。
なんて当たり前のことを思いながら、私は気合を入れるためベッドの上に正座する。
大きく息を吸って、吐いて、覚悟を決めて「何?」と答えた。
『調子がいいって怒られると思うんだけど。』
「うん。」
『・・・やっぱ言いにくいかも。』
「おい。」
私は思わず本気で突っ込んだ。(心の中では裏手だ。)
何よ、私気合入れたのに。
「言いかけておいてそれはないんじゃない?」なんて、ありきたりのブーイングをして。
入れた気合をほぐすように正座した足を崩している途中だった。
『―――俺と、また付き合って欲しいんだけど。』