もしも、もしも、ね。
「・・・困ったなぁ。」
恋とはなんと進行性の早い病なのだろう。
気付いてから、すごく貪欲になっている気がする。
思わず苦笑して、小さく独り言を呟いた。
もう一度付き合える半端な喜びと、
それでいて嘘をついた罪悪感と、
モヤモヤしながら私はもう一度携帯を手に取った。
報告しなければならない人がいる。
どうやったら彼女を驚かせることが出来るんだろう。
なんて悪巧みを出来るまでに回復した頭脳は、
他にもどんなリアクションが返ってくるかなぁなんてことまで考えた。
―――まぁ結局、普通に告げたわけなんだけど。
すべてを知った彼女の答えは、
『バッカモーーーーーーーンッ!!!』
―――・・・波平か、アンタは。
***
「―――り・・・暁里ッ!!」
「え?あ・・・ごめん、考え事してた。」
「もう!もうすぐ午後の授業始まるよ?」
私の思考は、波平・・・基、望果によって戻された。
もーう、なんて頬を膨らませる彼女は、まさか脳内で波平扱いされてるなんて夢にも思わないだろう。
「次なんだっけ?」と聞くと、
「音楽だよ。移動。」と返って来て、
気付けば望果の手には音楽の教科書が握られている。