もしも、もしも、ね。
「―――アカリ?」
「私、すべて陸斗のせいにしてた。」
空気で、陸斗が驚いたのが分かった。
けれど、私は頭を上げることなくただ言葉を紡ぐ。
陸斗。
陸斗。
私、貴方にもひどいことをし続けた。
「私が弱くて逃げ出しただけのくせに、
いつまでもすべてを陸斗のせいにしてたの。」
ユウを好きな自分に気付いた瞬間、自分が一歩前に進んだことを全身で感じた。
陸斗のことを過去と受け入れて、
今までの自分が無駄じゃないって理解して、
改めて自分の視界が開けたように思えたの。
そうしたら、考えれば呼吸がおかしくなりそうなくらい苦しくなっていた陸斗のことが冷静に思い出せるようになって。
一人、目を瞑りながらゆっくりと思い返した。
「陸斗ばっかり責めて、自分を顧みることさえしなくて。」
まるで、自分ばかり被害者のような顔をしていた私。
怖がって、
顔も合わせようとしなくて、
終わってさえなお、逃げ出して。
陸斗が悪いことをした、という思いを変えるつもりはない。
でも私も同じくらい悪い人間だった。
「私、陸斗を信じきれてなかった。
陸斗を好きになりきれてなかった。
―――嘘つきなのは、私も同じだった。」
陸斗を責める理由ばかりを探してたのは、自分を守るためだった。
“陸斗なんて大嫌い”
この言葉は、ユウと一緒。
私の、逃げる言い訳なんだ。