もしも、もしも、ね。
少しだけ、挑戦してみたくなった。
スパゲティはうどんのように水分で太くなるし、
たまねぎがお肉より多いハンバーグは作るし、
私の料理音痴は折り紙つきだけど。
ユウのために頑張るなら、それくらい苦手なものでもいいかもしれない。
でも。
「あと4日で間に合うかな・・・」
『間に合うかな、じゃなくて。間に合わせるの!そうでしょ?』
いつもこうやって望果は私の背中を押してくれる。
いつも私が欲しい言葉をくれる。
一気に力がみなぎって、私は大きく頷いた。
「うん、頑張る!」
『それでこそ、暁里だよ。じゃ、もう練習始めるだろうから電話切るね。』
「ありがとう、望果。」
『困ったときはお互い様、でしょ!じゃね。』
望果はそう言って電話を切った。
よし!俄然やる気が出てきた。
私は急いでスウェットから私服に着替え、
髪を適当にとかすとリビングに行って朝ごはんを食べた。
そのまま鞄にお財布と携帯とipodを放り込んで「いってきまーす!」と飛び出す。
その所要時間、わずか30分。
私単純。
―――それとも、これもユウのパワーなのかな?