もしも、もしも、ね。
心実−シンジツ−
*1*
♪~
枕に顔をうずめていた私の耳に、無駄に明るい間抜けな音が響いた。
いけない、携帯のマナーモード切れてたんだ・・・。
学校で鳴らなくてよかった。
そんな今までと無関係なことを思いながら、
がんがんする頭を押さえて机の上でなり続ける携帯を手に取った。
ディスプレイも見ずに通話ボタンを押して耳に当てる。
「もしもしー?」
『・・・。』
「? もしもーし。」
電話の向こうの人は無言だった。
え?悪戯電話?
誰が掛けてきたのかディスプレイを見るために耳から話そうとすると、
わずかに声が聞こえた。
『・・・り。』
「え?」
『―――暁里。』
え?
小さな声だったけど、それはあまりにも聞きたい声で。
でも聞きたくなかった声で。
誰だかわかったのに、信じられなくて、あまりに驚いて、私は結局ディスプレイを見ることとなった。
―――嘘。
嘘、嘘、嘘・・・ッ
[通話中] 篠田裕哉