もしも、もしも、ね。
『明日、デートしよっか。』
続いて聞こえた声に、私は「え?」と掠れた声を漏らした。
聞き間違い?と思って、震えながら反復する。
振られるのは明日がいい、というのは私の身勝手な願いで、
今ここで終止符を打たれるのではないかと身構えていた私は少しだけ体の力が抜ける。
単に、来るべき瞬間が先延ばしになっただけだけど。
「明日?・・・で、でー・・・と・・・?」
『なんだよ、そのリアクション。それとももう何か予定入ってた?』
「え?いや、あの・・・ひ、暇、だけど・・・」
どうしてもしどろもどろになってしまう。
だって、分かれる日とはいえクリスマスだよ?
ユウにはエリナちゃんが居るんでしょ?
―――私が、デートに誘われた。
私が“誘った”んじゃなくて、“誘われた”。
これって、明日会えるってことが確定だよね?
驚き、戸惑い、緊張、寂しさ、せつなさ・・・ちょっとだけ喜びが混ざっちゃう私、どうしようもない。
『じゃ、決まりな。』
そう言ったユウの声に「あっ」と声を漏らしてしまう。
『どうした?』と聞き返され、小さな疑問をぶつけた。
「ユウこそ・・・暇なの?」
だって、聖なるクリスマスなのに。
ユウは『は?』と言った後、呆れたように答えた。