もしも、もしも、ね。

*2*



***





結局ほとんど眠れなかった。そう思いながらため息一つ。

告白は女の子らしくスカート、って思ってたのに遊園地だからズボンになっちゃうし。

ロールケーキはお母さんに相談して型崩れしにくく入れたものの、やっぱり不安。

ちなみに底が平らな小さな袋をちゃーんと別に持ってる。

髪型だって、上手くやろうと思えば思うほど失敗しちゃってイマイチだし・・・。

あぁ、私って本当に微妙で中途半端。

そして何より―――



私は顔を上げて駅にかかる時計をにらんだ。

現在時刻、10:30。

篠田くん、ただいま30分の遅刻中。

携帯に連絡はなし。






―――え?もしかして、浮かれてたの私だけだった?






「暁里!」



不安と落胆に俯いていると、ふ、と声を掛けられて顔を上げた。

必死な声と走ってくる一つの影―――

寝不足で視界がぼやけてよく見えず目を細めると、それを睨んでるように思ったらしい。

遅刻魔は両手を膝について息を整えながら、

「ごめん」と珍しいくらい深々と謝った。



「っていうか、むしろ大丈夫?」



走って来てくれた。

たったそれだけのことが嬉しくて、私はにやけそうになる。

それをばれない様に、押さえようとしたら驚くぐらいクールな声が出てしまった。

あぁぁぁぁ、可愛げない!私!!


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