もしも、もしも、ね。


「なんでもないよ。ちょっと出かけに色々あっただけ。」

「ほんとに?」

「ホント。」



そう言ってユウはにこっと微笑んだ。

う・・・こ、この人ってこんな表情する人だったっけ・・・?

クールで堅物。硬派なイケメン。

そんなキャッチコピーを吹っ飛ばすような柔らかで甘い笑顔にたじろぐ私。



「っていうかさ、何それ?」

「え?」



急に疑問詞をつけた文を投げられ、私は一瞬きょとんとしてしまう。

ユウを見、それからその視線を追いかける。

真っ直ぐたどり着いたのは・・・私の持ってる紙袋。



「ななな、なんでもない!!」



慌てて私はその袋を自分の後ろに隠した。

だって、ユウの視線を見てたら透視されるような気がして。

隠すものでもないし、むしろ隠さなくてもよかったんだけど、

なんだか気恥ずかしくてわざとらしいくらいの慌て方で逃げてしまった。

今度はユウがきょとん、としてたけど、

私がもう一度「なんでもないの!」と強く言ったらしぶしぶ納得したようだった。

それからにこり、と唐突に微笑んで、



「行こうか。」



なんていうから。



「え?あ・・・う、うん。」



あまり追及されなかったことを驚いて、そして

その笑顔にどぎまぎしながら大人しく従うと、

ユウは驚いたように私を見た。

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