もしも、もしも、ね。


何?と隣を歩きながら問いかけると、「いや・・・」とユウが口元を押さえる。



「暁里ってそんな大人しかったっけ?」

「え?遠まわしに煩いって言ってる?」

「いや、そうじゃないんだけど・・・」



ユウは言葉を濁すと、ちらりと横目で私を見た。

クエスチョンマークを浮かべて首を傾げると、彼はなんでもないなんて言う。

本当に変なユウ。

―――って、ユウから見たら私も変か。

自己完結をしながら、またユウの隣を歩いた。

自分のペースを乱さず、決して歩みを遅らせない彼の隣を。

少しぐらい遅く歩け、女の敵め。

そう思い出した私も、きっと自分のペースを思い出してきてるのだろう。










ネバーランドは、徒歩10分ぐらいの距離にあった。

道を歩く人はほとんどネバーランドに行くぐらい、人は多い。

車も渋滞しているようだった。

これじゃぁチケット取るだけで時間掛かりそうだなぁ。

と思うと同時に、ユウのはや歩きの理由に気付く私。

なので、当たり前のようにチケット売り場に向かう。・・・向かおうとした。



「え?」



ユウが私の腕を掴んだ。

引き止めるような仕草にきょとんと彼を見上げると、

彼は上着の胸ポケットから細長い紙を2枚出す。

「え?」とまた私は呟いてしまった。だって、それは―――


< 252 / 299 >

この作品をシェア

pagetop