もしも、もしも、ね。
『別にお前の言う通りその男が今恵理奈っつー女と付き合ってたとしてもさ。』
「うん」
『可愛いって思われたのは十中八九間違いねぇと思うぜ?
―――だったら奪えばいいじゃねぇか。女扱いされてるだけ望みはあるだろ。』
そ、それは自分に自信のある人の発言です・・・。
私ときたら、
いつも反抗してばっかりで、素直じゃなくて、可愛げなくて、
おまけに大嫌いとまで正面きって言ったことあるのに。
誰が自信を持てますか。
はぁ、と私はため息を付いた。
陸斗、残念。望みないです、私。
完全に落胆していた私は、陸斗の言葉なんて全然聞いていなくて。
『―――・・・・・・・・・っつーわけで暁里。支度しておけよ?』
「うん。・・・・・・え?って、は?」
『だから、今から迎え行くから支度しておけよ?』
「はぁぁッ!?ちょ、え!?!?」
私が大きく抗議と驚きの声を上げたときは既に遅く、
電話口からはツーツーと機械音が漏れているだけだった。
も、もう二度と会わないんじゃなかったのかぁぁぁぁぁッ!!
内心怒りに震えつつ、ついつい支度してしまう私。
あぁ、情けない。
ただいまPM10:38。
この電話もまた、私の運命を大きく変える一つの鍵だった。
―――そして今、私は自分の家の玄関で固まっている。