もしも、もしも、ね。


望果が仲裁してくれようとしたけど、私たちは声をそろえて拒否。

あまりにもそろった言葉に、彼女は肩をすくめる。



「まったく。気が合うんだか合わないんだかわかんないわね。」

「「合わない!!」」

「ほら。」



やっぱりそろってしまう声。

一瞬望果に向けた瞳は、また鋭いユウの視線に戻した。



「はぁ・・・暁里も裕哉君もさぁ、二人がバトンやるのってこれだけじゃないんだよ?」



困ったような望果の声。

そう。そうなのだ。

体育祭ラストのメインイベント。選抜リレー。

各クラスから男子2人、女子2人が選抜されるもの。

ちなみに走る順番は高1・高3・高2。



高3は受験勉強で練習時間が取れないから、高2がラストなんだって。

うちの学校大学付属でもないくせに、体育祭は10月だし、文化祭は11月。

そりゃ、受験生は大変だよね。

あぁ、来年のつらさが目に見えるようだわ・・・。



なーんてことは今回どうでもいい。

うちのクラスの選抜者は、女子が私と望果、男子がユウと佐久間准(さくま じゅん)君。

え?佐久間君?

彼は、遅刻とサボりの常習犯。成績は赤点が当たり前の問題児。

だけど、サッカーがすごくすごく上手。

そんな彼はサッカーを鼻にかけることもなくて、明るくて気さく。嫌いじゃない人。

ちなみに、今日はお休み。

なんでもサッカーの合宿があるとかないとか。(都選抜に入ってるんだって。)



選抜リレーも、男子と女子は交互。

順番は、望果・佐久間君・私・ユウ。

つまり、ここでも私からユウにバトンを渡すってわけ。



わかってる、けどさ・・・。



< 28 / 299 >

この作品をシェア

pagetop