もしも、もしも、ね。
一瞬、飲み込めなかった。
“初恋の男”?・・・例、の?
だって、それは、それは私が昔いつも見に行っていたサッカー部の・・・
それが、ユウの兄で?え?え?
「えぇぇぇぇぇッ!!?」
「暁里さんはいつもリアクションが美味しいから面白いねぇ。」
のほほん、と恵理奈ちゃんが笑う。
そ、そうは言ったって。
出来すぎた偶然や、まさかの再会に私は驚くしかない。
「え?本当に?だって、なんで分かったの?」
「まぁ俺は当時選手だったから相手のデータぐらい持ってたし、
お前が気に入ってたヤツだから名前ぐらい覚えるし。
で、恵理奈に確認したってわけ。」
「私だって従兄妹の部活や中学校くらい分かるよー。」
「さすがに同姓同名・同じ中学・同じ部活はいねぇだろ?学年もジャストだ。」
―――そんな種明かしを、私はぼんやりと聞くしかない。
もう何年も前の初恋の人。
陸斗のせいで霞んでしまった初恋の人。
そんな人が、目の前にいて、私を見て、微笑んでくれている。
奇跡みたい。
「―――って、お前兄貴のこと見つめすぎ。」
突然目の前が真っ暗になったと思うと、呆れ半分少し拗ねたようなユウの声が降ってきた。
私、目隠しされてるみたいだった。
もしかして・・・
「「ヤキモチ?」」
「違う!」