もしも、もしも、ね。
「じゃ、まぁ裕哉も長年の片思いが実って良かったな?」
「兄貴!!」
最後に裕哉の指の隙間から見えた竜哉さんは好奇心に目を光らせて生き生きと笑っていた。
―――あ。
記憶がフラッシュバックする。
きらきら輝く太陽。
目もくらむような温度。
その中でグラウンドを走り回る、男の子。
今の竜哉さんは、ボールが自分の足元に来た時のあの人と一緒の顔していた。
やっぱり竜哉さんが初恋の人なんだ・・・そう合点が行くと同時に湧き上がる疑問。
がちゃん、という音でまた二人きりの空間に戻ると、
(陸斗と恵理奈ちゃんも今一緒に出て行ったの。)
私はぐるりと体の方向を変え、真っ直ぐにユウを見つめた。
「―――長年の、って何。」
「いや、それは・・・だな。」
さっきと立場逆転。
珍しいくらい顔を赤くしてしどろもどろなユウと、
相手のリアクションが面白くてついつい詰め寄っちゃう私。
そして私は、自分の恋の始まりを知るのだった―――