もしも、もしも、ね。
「お疲れさま。」
「ん。」
「どうだった?」
「普通。」
裕哉はもう就職先が決まっていて、
一週間に一度くらいの頻度でその就職先で一足先に研修を受けている。
今日はちょうどその日で、スーツ姿だったのだ。
(そしてその姿が竜哉さんにそっくり・・・というと、いつもものすごい顔で睨まれる。)
普段と変わらぬ応答に、私は微笑んで更に問いかけた。
「何飲む?」
「いつもの。」
そんな会話もお手の物。
私は手元にあったボタンでウエイトレスさんを呼ぶと、アメリカンコーヒーをホットで頼んだ。
かしこまりました、とウエイトレスさんが遠のくや否や「それで?」と裕哉が口を開く。
「それで、一体それはどういう意味だ?」
―――ま、まだ根に持ってるこの人・・・ッ!!
満面の笑みを浮かべる裕哉にちょこっとだけ凍る背筋。
「私ちゃんと話したよ?
私が竜哉さん好きだった頃、実は裕哉も竜哉さんを応援に来てて、
それで私のこと見かけて気に入ってくれてたんでしょ?」