もしも、もしも、ね。


私が右って言えば、ユウは絶対左。

私が下って言えば、ユウは絶対上。

たまに、「合わせてみようかな」とか思って直感と反対方向を指すと、

皮肉にもユウも同じ思考で反対を指さす。



そこでどちらかに合わせようとすると、喧嘩。もしくは譲り合い。

じゃんけんで決めようとすればあいこの連続で決まらない。



え?これ気が合うっていうの?

ぜったい違うでしょ。

気が合うっていうのは、もっと和やかなものじゃないの?



「なんか思い当たる原因は?」

「さっき考えてた。」

「今じゃないのかよ。・・・で?結論は?」

「ゼロ。」



呟けば肩を落としながらの「俺も。」という返答。

うん、そうだろうな。

女子達の「ティンカーベルって書いたの誰よぉ!!」っていう泣き叫ぶ声や

男子がスパルタ望果にやらされる腕立ての嘆きが校庭に響き渡る。



「練習してみる?」

「んー・・・してみるの?」



ユウが立ち上がって、私を見下ろしながら問いかける。

私も丸めた膝に頬杖を付きながら、彼を見上げた。

一瞬の間。



「原因もわかんないのに、意味ないよなぁ。」



と、ユウの身体は私の隣に戻ってきた。

その瞬間。



―――・・・ッ!!



びくっと身体が反応して、思わず私はばっと立ち上がった。

不思議そうなユウの瞳が私を見つめる。


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