もしも、もしも、ね。

「じゃ、また後ろ行くね。」

「よろしく。今回はゆっくり、な?」

「わかってるわよ。」



つんと言えば、ユウは小さく苦笑した。

わかってるわよ。

かわいくないなぁとか思ってるんでしょ?

女の子らしくないなって。

どうせ、私なんか・・・・・・



ん?



―――・・・なんか?



ちょっと待ちなさいよ。

いいんじゃない。アイツにかわいくなんて思われたくないし。

私、素なだけだし。

だいたい、なんであいつのために私「なんか」って自分卑下してるのよ。

おかしい。ぜーったいにおかしい。



私は10メートルほど先にいる背中を睨んだ。

少し黄ばんだTシャツ。

それでも見える大きな背中。

落ち着いて私。

いい?私はコイツが大嫌いなの。

今回だって、私は悪くないんだから。



そんなことを考えていれば、突然振り返られてどきんとした。

あ、言っておくけど、びっくりのどきんだからね?



「暁里ー。俺準備いいぜー。」

「じゃ、行くよー。」



バトンを手の中で一回転。

その場で軽く足踏みしてから一気に駆けだした。




< 33 / 299 >

この作品をシェア

pagetop