もしも、もしも、ね。
「じゃ、また後ろ行くね。」
「よろしく。今回はゆっくり、な?」
「わかってるわよ。」
つんと言えば、ユウは小さく苦笑した。
わかってるわよ。
かわいくないなぁとか思ってるんでしょ?
女の子らしくないなって。
どうせ、私なんか・・・・・・
ん?
―――・・・なんか?
ちょっと待ちなさいよ。
いいんじゃない。アイツにかわいくなんて思われたくないし。
私、素なだけだし。
だいたい、なんであいつのために私「なんか」って自分卑下してるのよ。
おかしい。ぜーったいにおかしい。
私は10メートルほど先にいる背中を睨んだ。
少し黄ばんだTシャツ。
それでも見える大きな背中。
落ち着いて私。
いい?私はコイツが大嫌いなの。
今回だって、私は悪くないんだから。
そんなことを考えていれば、突然振り返られてどきんとした。
あ、言っておくけど、びっくりのどきんだからね?
「暁里ー。俺準備いいぜー。」
「じゃ、行くよー。」
バトンを手の中で一回転。
その場で軽く足踏みしてから一気に駆けだした。