もしも、もしも、ね。
「私と暁里入れ替えるだけだしさ。」
「そう、なんだけどさ・・・。」
なんだか、悔しい。
クラスメートに興味なんてないけど、でもみんなが勝ちたいって練習してるの知ってるから。
来年はこうやって燃えて練習なんてできないから。
ほぼ最後の体育祭。
私だって勝ちたい。勝ちたいよ。みんなと一緒に。
「そんなに変化ないとは、思うよ?」
「・・・うん。」
そうだろうな。
だけど、私と望果の順番がまったくの誤差を与えないとは限らない。
今のままがベスト。
勝つためには、ベストで挑みたい。
「とりあえずさ、クラスリレーだけでも変えようよ。」
「だね。」
「裕哉君や准には言っておくからさ。」
「う―――」
「何のはーなし?」
私の相槌にかぶるように現れた佐久間君。
にこにこと人なつっこい満面の笑み。
あんまり低くない声と、跳ねるような発音が彼らしくて、顔を見なくても誰かがわかる。
「裕哉ー。お前も来いよ!」
ドキンと身体がこわばった。
ユウは、なんて思うかな。
私が諦めること。私が逃げること。私が出来ないことから目を背けること。
「何?」
と小さく言いながら、ユウが私たちの机に近づいてきた。