もしも、もしも、ね。
「でもさ、俺が寂しそうって見えたのは絶対間違いじゃない。
原因はわかんねぇけど、それぐらいしか思い当たる所なくね?」
「うーん・・・確かに。」
望果は伸びをしながら佐久間君を肯定。
ちょうどその時がらがらとドアが開く音がして、先生が入ってきた。
この先生、なぜか私たちに“ぽ”と呼ばれている。
雰囲気が「ぽ」らしい。わけがわからない。
「爺さん」と同じくかなり前の先輩の代から「ぽ」なんだそうだ。
「ほら、みんな席ついてー。」
ぽが叫べば、みんなバラバラだけど素直に席に着いた。
アキバ系っぽい男の先生だけど、憎めないから嫌われてないんだ。
望果は慌てて前を向き(席前後なの)、佐久間君は「またな」と教室の角に走っていった。
私はぼんやり、頬杖を付く。
なんで?
そのままだったら呆れられて、変えたら寂しがられて。
私に一体何をして欲しいっていうの?
私もそう。
そのままだったら悲しくて、変えたら悔しくて。
私は一体どっちを選べばよかったの?
時間が足りないんだ。
もっと時間があれば、理由だって見つけて、練習だっていっぱい出来て、
きっときっと成功してた。
なんで明日なのよ。体育祭。
「って!」
そんなことを考えていたら、突然額に何かとんがったものが刺さった。
痛さに小さく声を上げる。
目の前を見たら、先っぽがそれはそれは綺麗に尖った、ノートの切れ端で作った紙飛行機。