もしも、もしも、ね。
『別に私たちはどっちでもいーんだよ?
怒ってないし、責めてないし、合わせられるし。
問題なんてぜんっぜんないんだからっ!
ゆうや君とあかりの納得する方法を決めなね。
モカ☆』
犯人は望果か。
女の子らしい丸文字の字から顔を上げれば、小さく振り返った望果のVサイン。
普通この距離で紙飛行機を投げるか。
しかもご丁寧に尖らせて。ご丁寧に額を狙って。
私と、ユウの納得する方法か。
そんなの、一つしかないじゃんか。
私とユウのバトンの受け渡しが上手くいくこと。
―――つーか、それが出来ないから悩んでるんじゃない。
それが出来てたら、最初からこの話はないわよ。
ハァッと、幸せが逃げ切りそうな大きなため息。
ぐしゃっと飛行機だった手紙を丸めて、額を机につけた。
放課後の練習。
私、佐久間君、望果、ユウという順番は気持ち悪いほどスムーズだった。
「これなら全然平気だよ!」と嬉しそうに笑う望果。
「よろしくな。」と優しい笑顔の佐久間君。
無言のユウとは、1回も目が合わなかった。
これで、いい。これなら十分くらいだよ。
もやもやを残したまま、その日が終わる。
明日は、本番だ・・・。