もしも、もしも、ね。
「ふーん。そんなことになってたんだ。」
望果はそう言いながらウインナーを口に放り込む。
そしてそれを噛みながらフォークで唇を押さえた。
「っていうか、あんな1試合でチームが負けるわけじゃないし。」
「でも、今までの練習無駄にさせたことにならない?私。」
「そっかー・・・。」
私は嫌。
みんなで優勝して、みんなで喜びたいもん。
たかだか1試合、だろうが負けたくない。
「にしてもさ、ちょっと話反らしてい?」
「ん?」
「暁里も、クラスで勝ちたいとか思うんだねぇ。」
望果の言葉に私はぱちくりと目を瞬かせた。
あれ?
そういえば、確かに。
ちょっと前の私は、もっとクールでクラスなんて関係ないと思って。
かなり飄々(ひょうひょう)としていた気がする。
「暁里、このクラス好きなんだね。」
「・・・。」
「私思うんだけどね、暁里がこのクラス好きなのは、好きな人がこのクラスにいるからだよ。」
好きな人。
無言で穴が空くほど望果の顔を見つめる私。
「今まではさ、暁里が仲いいのって、自惚れかもだけど私だけだったでしょ?
だけど、裕哉君と付き合って、リレーやって准君と喋るようになって、
2人越しに男の子と喋ったり、絡み口調だけどギャル派の子と喋るようになったり。
たった数日だけどさ、暁里の喋る人の層増えたなーって私思うよ。」