もしも、もしも、ね。
「なら否定する必要ないじゃない。ね?暁里。」
「望果・・・。」
悪魔のような親友(今少し抹消したい!)の言葉。
お願い!とクラスメートにも頼まれちゃ私は断れない。
だって負い目があるんだもん。
(いくら事情を告白したって、望果も“クラスメート”の一員だし。)
「わかったわよ・・・。」
ため息混じりの私の声は、みんなの歓声に掻き消された。
「―――っていうわけで、悪いけどよろしくね。」
「マジかよ・・・。」
選手として入場門にいる私。
隣の男は私の事情を聞いて大きくため息を吐いた。
ため息を吐くほど、私に会いたくなかったのかな。
ついついクラスの子達の気持ちを優先させて出ることになっちゃったけど。
バトンすら上手く渡せなくて、
さっきあんなことがあったばかりで、
私はこの人と息を合わせられるんだろうか。
いざ彼を前にしてみたら、突然の不安が私を襲った。
大きく深呼吸をするけど、なんだか喉の奥が震えてる。
怖い?緊張?不安? なんだろう、この気持ち―――
「あの・・・さ。」
「ん?」
ユウが突然口を開くから、私も問い返す。
彼は一瞬私を横目で見た後、すぐに視線を前に戻した。
あぁ、もうすぐだ。
「さっきは、悪かったな。」