もしも、もしも、ね。


小さく言えば、ユウはやっと私の顔を見てくれて。

そして「おう。」と小さく笑った。

私も思わず笑みをこぼす。



「二人三脚出場者の皆さーん。準備してくださーい。」



係の人の声で、ユウはしゃがみ込む。

そして、私とユウの内側の足にはちまきを掛けた。

「きつくない?」と聞いてくれながら、私たちの足は一本になる。


はちまきがなんだかくすぐったくて。

一緒になるっていうのが恥ずかしくて。


私は視線を反らしながら口元を抑えた。



―――喧嘩した、後だからかな。



触れ合ったところだけが妙に熱くて。

「ユウ、体温高いんだね。」

って言ったら「俺平熱低いよ。」って返された。

嘘。だってこんな熱いもん。


こんなジンジンするんだもん―――



「よし、出来上がりっと。」



立ち上がったユウと私の足には、赤いリボン。

ちょっとやそっとじゃ外れないくらいしっかり結んであった。



「勝とうな。」



繋がったせいで、ユウの微笑みが至近距離になる。

私の動悸が、急に早くなった。

身体が火照る。



―――緊張、してるのかな。



仲直りはできたけど、バトンの問題は解消してない私たち。

勝てるのかな。


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