もしも、もしも、ね。
「・・・ッ」



思わず顔を覆った。


騎馬戦で負けたときの、みんなの落胆したため息や悔し泣きが頭を離れなくて。

それを作ったのが自分だって思ったら、

罪悪感を感じずにいられなくて。

そのお詫びにリレーをがんばった。

お詫び、だなんて、エゴだってわかってはいたけれど。

でも結果を見れば「負け」で。

お詫びを出来なかったことに、またあの顔をさせるだろうことが、

私は怖かった。

不安で、悔しくて、悲しくて、申し訳なくて。


なのに、ちゃんと迎え入れてくれた。

みんなを悲しませて、自己中で、結果を残せなかった私を。

いつもクールな皮かぶって、近づこうとも関わり合おうともしなかった私だというのに。



「やぁー、桜野さん泣かないでぇっ。」

「どうして泣くのぉ。」

「桜野さぁんっ。」



困ったような女の子達の声。

このクラスでよかった。

このクラスになって半年、初めて目が開けた気がした。


そっと顔を横にあげる。

ユウと目線が合って。

あぁ、彼のおかげなのかな。そう思った。



「暁里、俺じゃなくてみんなに言うことあるでしょ?」

「・・・。」



あんたなんかに言われなくても。

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