もしも、もしも、ね。
***
「ほら。」
「・・・何よ。」
「手。貸せ。」
「自分で出来ます。」
手を差し出してくるユウをじとりと睨む。
すると、はぁっと大きなため息をつかれて。
「意地っ張り。」
「それで結構。」
「何怒ってんの?」
「怒ってない。」
「怒ってるでしょ。」
「怒ってないってば。」
「怒ってる。」
「怒ってない。」
そろそろ噛みそう。
この押し問答を数回続けてから、無言でにらみ合う。
っていうか、なんで私こんなにムキになってんだろ。
「怒ってないなら手ぇ貸してよ。」
「・・・。」
「手出さないなら怒ってるって見なすよ?」
それはやだ。(今の押し問答負けになるから)
なんかユウ、私の扱いに慣れてきてない?
私がゆっくり持ち上げた手を満面の笑みで掴んだコイツに、
心の中で「ふざけんな。」と悪態をついた。