もしも、もしも、ね。


さっき?

話題がいきなりなのと、いろんな驚きで一瞬思考が遅れた。

少し目を瞬かせた後、「あの嘘か」と納得して返事をする。



「あぁ、はいはい。

どうするの?あんな無責任なこと言って。」



篠田は困ったように頭を掻く。

そしてとんでもないことをほざ・・・じゃない、言いやがってくださりました。



「あの、さ・・・。」

「うん、何?」

「―――・・・


















付き合ってくんない?」

「は?」



思考回路完全ストップ。

身体硬直。

鳩が豆鉄砲食ったとか
開いた口がふさがらないとか
目を丸くするとか

そんな言葉じゃこの気持ちは言い表せない。

わかる?この気持ち。


だからって別に赤くなったりはしなかったけど。

恐る恐る、かろうじて動く口から言葉をつむいだ。



「え?今のって、あのさ・・・」



今のって告白?

あんたって私のこと好きなの?

どうやったらそんな「端から聞いて自意識過剰」なセリフが吐けようか。

自分でもらしくないなってほどまごついていると、
篠田はあっけらかんと次の言葉を口にした。



「あ、言っておくけど、好きとかそういうんじゃないから。」

「はいぃぃッ?」




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