もしも、もしも、ね。


ユウは、また荒川さんと一緒にいた。

「暁里がはっきりしないから荒川さんが調子乗るのよ!」なんて望果は怒っていたけど。

私に言わせて見れば、あそこまでアピールできる荒川さんがすごいと思う。

嘘だけど、仮にも彼女がいるのに。

そこまで考えて、ふと思い出す。



―――あ、そうだ。ユウってモテるんだったわ。



そんな話題をしなくなったからすっかり忘れていた。

そういえば現在進行形でユウってモテているのだろうか。

告白でもされているのだろうか。

気にしようとさえしてなかったから・・・何も知らないや。



私は、ユウのこと、何も知らない。



誕生日っていつなんだろう。

ユウって何処に住んでるの?

中学校のユウはどんな子だった?

ユウの得意科目は?苦手科目は?



―――私は、ユウのことを何も 知ら、な い 。



そんなことを考えてから、私はブンブンと首を振って頬杖を付く。。

いや、知る必要ないじゃん。

だってユウなんて呼んでるけどアイツ篠田だよ?

私偽物だよ?

大体、ユウだって私のこと知らないんだしお互い様じゃない。



最近の私は変だ。

イライラするのに、ストレスが溜まるのに、その元凶のことを考えてばかりいる。

考えなければいいじゃん。考える必要もないじゃない。

―――なのに。

そう思うから、尚更腹が立つ。

私は八つ当たりをするように、

気を紛らわせるように、

意識を戻すように、

前にいるユウと荒川さんに睨み付けるような視線を戻した。


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