クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「まさか、私が柏原さんとおつき合いしているなんてことはあり得ませんからっ!」

「そう?」

「そうです。そういうものなんです。私みたいな目立たない女を、柏原さんのような人が選ぶはずはないんです」

「ふーん、そうなんだ」

「はい。私の完全片想いですから」

 と、自分で必死に否定すればするほど、本当に彼が遠くなってしまうようで寂しい。
 完全片想いなんて、報われなさすぎるに程がある。


「じゃあ、また。企画の件、よろしく頼みますね」

「承知しました。こちらこそ、引き続きご指導よろしくお願いいたします」


 あぁ、疲れた。
 ぐったりだ。

 缶ビールをぐいっと傾け、むしゃくしゃする気持ちをぶつけた。


 誰が悪いのか、考えてみれば回り回って自分に戻る。
 もしああしていれば、こうしていたらと“タラレバ”を並べて、今の自分を守るんだ。


 この平穏な地味子生活は、代えがたい居心地の良さがある。
 恋愛の1つや2つ、思いどおりにいかないのは想定内だったはずなのにな。


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