クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
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キーボードの上を忙しなく指が躍る。
肩で器用に電話を挟んで、先方と話す。
数分おきに、手鏡でメイクチェックをかかさない。
私が囲まれている環境は、本日も変化なし。
千堂部長は次々と業務をこなして、ようやく一息ついたかと思ったら会議で離席して……だけど、あくせくするのは見ている周りのほうで、ご本人は余裕を感じる。
外注品の依頼をする同僚は、肩に電話を挟みながら電卓で計算したり。
佳乃さんは、女子力向上のために出社しているのかと誤解されかねない。
「柏原さん」
「お疲れさまです」
「今日、みんなでランチでもどうですか?」
資料を手にした彼が商品企画部のフロアにやってきただけで、女子社員の視線が集まる。数人で結託して、彼とお近づきになろうとする光景は、入社して以来飽きるほど見てきたけれど。
「ごめんね。今日はこれから店舗に出る予定なんだ」
また今度、と言って誘いを断って彼は背を向けた。
そんなの何とも思わなかったのに、彼と恋を始めたら嫉妬心の塊がお腹の底で渦巻くようになって、今だって気分は悪い。