クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
私を少しも見ないで、仕事に意識を戻す彼が遠い。
フロアに入った時に見渡すついででも視界に入れてほしかったのに、それすら叶えてくれなかった。
千堂部長から注意された彼なりに、気を遣ってそうしたんだって思う。だから彼が正解なんだって分かってても、理解と想いがなかなか一致してくれなくて苦しい。
いつの間にか彼を追いかけ、求めるばかりになってしまった。
止まったままだった指先でキーボードを1つずつ選んで、私も仕事に戻る。
疑わしい言動は控えるに限るのだ。私が地味を選んでいるのは自分のためだけだったけど、今は彼との恋を続けるためでもあるんだから。
モヤモヤする気分も、浮かれた恋心も、切ない時間の積み重ねも、今は全排除しなくちゃ。
傍らに置いたタンブラーを手にして、淹れてあるカフェラテを含む。
自然とパソコン画面から外れた視線で、部内を流し見た。
「っ!ごほっ」
行き着いた先にあった千堂部長の視線で、むせつつもカフェラテをなんとか飲み込む。
涙目でせき込む私を同僚は冷めた態度で一瞥するけれど、部長だけは馴染むことなく視線を浴びせてくる。