クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「瀬織さん、ちょっと」

 部長が携帯だけを持ってフロアを出ていく。
 何の用なのかは、聞かずとも分かる。……企画の件に違いない。


 重い腰を上げて、遅れて席を立った私を同僚は冷めた目で見送った。


 みんな切り替えているのは表面だけで、心の中では貴重な時間を無駄にされたと思っているだろう。もし私が逆の立場だったとしたら、少なからずそう思う可能性がある。



 さっきまで使っていた会議室はまだ空室のままで、部長が先に椅子に座り、長い脚を組んで私を待っていた。



「悪いね、いきなり」

「いえ、大丈夫です」

「来週の会議資料に挟み入れてほしい内容、さっき共有フォルダに入れておいたから確認してください」

「かしこまりました」


 日常的なやりとりも、妙な空気で支配される。
 このために呼ばれたんじゃないってわかっている私を見て、部長は携帯を長机に置いた。


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