クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「恋が満ちるとき。すごくいいテーマだと思うよ。出会いでも片想いでも憧れでも、その人にとって心が満ちれば、その時が輝くんだから」
「……はい」
「あまりプライベートに踏み込みたくはないって、この前も話したけど」
千堂部長が前置きして脚を組み直す。
続く言葉は、きっと私をえぐるだろう。
「柏原さんに失恋した?」
「……」
もちろん私は黙秘権を行使する。
社内恋愛が禁止と知りながら始まった恋は、誰にも知られずに消えてくれたほうがいい。
「つき合ってて、フラれて、そんな自分に浸って、なかなか前向きになれない。そんなところじゃないですか?」
投げられた剛速球を避けきれず、私の傷心にぶち当たった。
見事、デッドボール。
「……くだらない」
俯いて黙り込み続ける私を切り捨てるその声は、千堂部長のものとは思えないほど冷酷だった。