クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 扉の鍵がカタンと落とされ、施錠を知った。


 千堂部長はそのまま出ていくものだと思っていたのに、彼は肌蹴た浴衣を直しながら私の前に佇んだ。



「暗さに目が慣れてきたな……」

 私の荷物以外、他の部屋と大差ない室内を見渡して部長が胡坐をかいて座る。


 素顔を見られたら、色々と説明が面倒だ。
 私は俯いて髪を前に流し、地味子を貫いた。



「あの、千堂部長は酔っていらっしゃるんですよね?」

「……まぁ、少しは」

「酔った勢いで、ご自分の部屋と間違われただけですよね?」

 千堂部長の部屋は、この通路のほぼ反対側にある。
 階段を上って、左右を間違えてしまったら私の部屋に辿りついてしまうはず。



「いや、ここが瀬織さんの部屋だって分かってたから来たんだけど」

 髪の隙間から覗き見た部長は、いつもとは比較にならないほど色っぽくて、私を真っ直ぐ見つめていた。


< 153 / 361 >

この作品をシェア

pagetop