クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 千堂部長の行儀のよさは影を潜め、色気だだ漏れの浴衣上司さまになった彼が、おもむろに腰を上げて前のめりになった。



「ずっと思ってたんだけど、見えにくくない?」

 わざと顔を隠すために集めた黒髪を、部長が指先で掬う。


「見えてますから大丈夫です。これがちょうどいいんです。どうぞお構いなく」

「あ、そう」

 彼は引いた手を身体の前に突き、じっと私を見つめてくる。

 

「キス、してごめん」

「……謝るくらいなら、しないでください」

「だから、ごめんって」

「社内恋愛は禁止なんですよ?!」


 部長は何も言い返さずに、黙り込んだままで私を覗き込む。


「っ、な、なんですか」

「あのな、思い出なんかにいつまでも負けてんじゃねーよ」

 部長らしくない男っぽい言葉尻に驚いた私の反応なんかお構いなしに、彼は唇で前髪に触れた。


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