クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「結衣って、料理上手なんだな」
「ありがとうございます」
できるだけ顔を見られないようにしても、すっぴんは見られているし、きっと寝顔も知られているはず。
素顔の私と会社の仮面地味女子の私は、誰もが気付かないほど別人なのに、部長はそれに触れることなく生活を続けている。
だから、私からも話題に上げるタイミングが見つけられなくて、なるべく会社での私と大差ないような対応を心がけているつもり。
恋人同士のようだけど、あくまでも企画のために部長が一肌脱いでくれているだけだから。
「いつになったら、俺を受け入れるか決めた?」
「何の話ですか」
「結衣、俺を上司として見てるだろ。それじゃ意味がないってこと分からないかな」
「だって」
無理なものは無理だ。
いきなり千堂部長を彼氏扱いしろと言われても、名前で呼ぶだけでも違和感がある。
「……ごちそーさん。美味かったよ」
部長は水を飲み干し、リビングのソファに大きくもたれた。