クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 企画のために変えた生活なのに、部長はひと言も仕事の話をしてこない。


 何かいい案が浮かんだかどうか、社内にいるときは会話やメールで問いかけてきてくれるのに。



「フルーツ、実家から届いたのでよろしければ」

「ありがとう」

 正月目前の季節、いちごの赤が艶やかで可愛らしい。
 食べずとも漂う香りで満たされるのは、旬ならではだろう。



「あのですね、1つお伺いしたいことがありまして」

 視線だけで相槌を打った部長が、苺に手を伸ばした。


「企画の件なんですけど」

「それ、今じゃなくていいだろ」

「今じゃないとは」

「帰ったあとまで、仕事の話したくないって言ってんの」

「でも、この状況は企画の為なんですよね?」

「そうだけど、仕事の話はしたくないから却下。別の話題にして」


 ムッとする私を一瞥し、苺をもう1つ取って、部長は書斎にこもってしまった。


< 163 / 361 >

この作品をシェア

pagetop