クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
企画のために変えた生活なのに、部長はひと言も仕事の話をしてこない。
何かいい案が浮かんだかどうか、社内にいるときは会話やメールで問いかけてきてくれるのに。
「フルーツ、実家から届いたのでよろしければ」
「ありがとう」
正月目前の季節、いちごの赤が艶やかで可愛らしい。
食べずとも漂う香りで満たされるのは、旬ならではだろう。
「あのですね、1つお伺いしたいことがありまして」
視線だけで相槌を打った部長が、苺に手を伸ばした。
「企画の件なんですけど」
「それ、今じゃなくていいだろ」
「今じゃないとは」
「帰ったあとまで、仕事の話したくないって言ってんの」
「でも、この状況は企画の為なんですよね?」
「そうだけど、仕事の話はしたくないから却下。別の話題にして」
ムッとする私を一瞥し、苺をもう1つ取って、部長は書斎にこもってしまった。