クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 それにしても、自分が生活するには贅沢すぎる建物は、帰宅のたびに見上げてしまう。

 空に向かってそびえるタワーは、覆い被さってきそうな威圧を感じさせる。



「お帰りなさいませ」

 エントランスホールに駐在しているコンシェルジュにも未だ不慣れで、会釈して足早にエレベーターに乗った。



 40階からの眺めは、こんなに世界が広いのかと感動させられる。
 見たことのある景色でさえ宝石箱をひっくり返したような夜景に一変するし、こんな贅沢なところで部長が暮らしていたという事実が、なかなか追いついてくれない。



 買ってきたワンピースをしまうために、私の部屋にしていいと言われた8畳の洋室へ。
 暮らし始めて数日、少しずつ自分の家から持ち込んだ物で飾られていくと、本当にここで生活しているような気にさえなる。

 
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