クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

「ただいま」

 玄関から部長の声がして、スリッパの音を鳴らして出迎えた。


「お帰りなさい、愛斗さん……っ?!」

 靴を脱ぐなり、私の肩にもたれて大きく息を吐く彼に驚いた。


「ごめん、飲まされちゃって……」

「大丈夫ですか?お水、飲みたいですか?」

「うん……」

 身長差のせいですこぶる歩きにくいけれど、バッグを玄関先に置いて、彼を支えてリビングに歩く。ソファに辿りつくなり、彼は勢いよく倒れ込んだ。



「お水、持ってきますからね。寝ちゃダメですよ」

「ん……」

 何度も息を吐き、眠そうな顔で私を見つめる部長に、不覚にもきゅんとしてしまった。



 会社にいれば、完璧で人当たりも良いから人望も厚く、さらにセンスもあって容姿端麗。それでいて嫌みがなくて爽やか。
 本当は、意地悪だったり自分勝手なところがあるし、話し方も丁寧さが男らしさに変わって、ぶっきらぼうになるんだ。


 千堂部長は、何とも罪深い上司だ。
 酔って帰ってきただけなのに、なんでこんなにセクシーで可愛らしいのか……。
 
 今日はまた新たな一面を知って、嬉しいと思ってしまう自分がいることに気づいた。


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